ガバナンス
サステナビリティ関連データ
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当社は、地球環境保全のために、事業活動を通じて環境負荷の低減、気候変動への対応を行い、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
近年、地球温暖化などの気候変動にともなう地球規模での問題が深刻化し、人々の暮らしや企業活動に影響を与えています。
当社は国際的な枠組みであるパリ協定や日本の中長期的な温室効果ガス削減目標に寄与する目標として、「2018年度比で2030年度に事業活動におけるCO2排出量38%削減(国内事業所におけるScope1,2)」を掲げています。
この目標を達成するため、エネルギー管理委員会を設置し、月1回モニタリング状況を共有するとともに、取締役会への報告・課題提起を行うなど、様々な環境活動を実施しています。
当社は「優秀な製品による社会への貢献」を経営理念として創業以来、様々な製品の技術革新に長年取り組んでまいりました。昨今、世界規模で気候変動対策が叫ばれるなか、当社は本件の対応を重要な経営課題の1つと捉え、2020年に「エネルギー管理委員会」を設置し、生産拠点の使用エネルギーの把握と省エネルギー化に向けた取組みを推進しています。また、2023年には取締役会の下に「サステナビリティ委員会」を新設し、会社全体で事業活動における脱炭素化、技術革新による持続可能な社会への貢献を目指した活動を進めています。
なお、当社は、2023年5月にTCFDへ賛同を表明いたしました。以下、TCFDの提言に基づき、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目の概要について説明いたします。
当社は、サステナビリティ活動のさらなる推進を目的として、2023年に取締役会の下に代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会を新設いたしました。同委員会は、その下部組織である「環境分科会」「人事分科会」で気候変動を含むサステナビリティへの対応について、検討・協議・戦略立案・実行計画の策定・目標の設定したものを同委員会にて審議および進捗モニタリングを行い、取締役会に報告され、取締役会において当該報告内容に関する管理・監督を行っています。
■ガバナンス体制図
■会議体の説明
会議体/役員 | 役割 |
取締役会 | サステナビリティ委員会より定期的に報告を受けるとともに管理・監督を⾏う。 |
サステナビリティ委員会 | 「環境分科会」「⼈事分科会」での検討・協議・戦略⽴案・実⾏計画の策定・⽬標作成したものを審議し、活動の進捗状況を取締役会へ報告する。 |
環境分科会 | ESG、TCFD、SDGs等の気候変動全般の指標と⽬標の⽴案や課題解決に取り組み、その進捗をモニタリングし、サステナビリティ委員会へ報告をする。 |
⼈事分科会 | ESG、SDGs等の⼈材戦略やダイバーシティといった⼈事関連の課題への対応や取組⽬標の⽴案ならびに⽬標に対する進捗モニタリングを⾏い、サステナビリティ委員会へ報告をする。 |
当社が中⻑期的に成⻑を遂げていくためには、気候変動対応が不可⽋であるとの認識から、CO2削減に取り組んでいきます。また、当社ではTCFD提⾔に基づいたシナリオ分析により、2030年における各セクターの事業環境に対する変化とそれに伴う財務⾯での影響を予測しました。なお、シナリオ分析にあたっては、環境問題に関する積極的な政府政策が講じられる場合の1.5/2℃シナリオに加え、政府政策が消極的で、気候変動による物理的な影響が顕著になる4℃シナリオも含めた複数のシナリオを⽤いております。
■使⽤したシナリオの説明
分類 | 1.5/2℃シナリオ | 4℃シナリオ | |
概要 | 21世紀末の平均気温が、産業革命以前と比較して1.5/2℃の上昇に抑制されるシナリオ。各国政府が現在公表している気候関連の公約が達成されるほか、より積極的な政策がとられることが想定されるため、社会的な変化(移行)による影響が大きい。 | 21世紀末の平均気温が、産業革命以前と比較して4℃上昇するシナリオ。気候変動が進行し、平均気温の上昇や異常気象の頻発化など、物理的な影響が大きい。 | |
考察の対象 | 移行による影響 | ・Net-Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE) ・Announced Pledges Scenario(APS) |
・Stated Policy Scenario(STEPS) |
物理的な影響 | ・Representative Concentration Pathways(RCP2.6) | ・Representative Concentration Pathways(RCP8.5) |
当社はシナリオ分析の結果として、1.5/2℃シナリオおよび4℃シナリオにおいて、それぞれ当社事業に重⼤な影響を及ぼすと考えられるリスクと機会を特定しました。まず、1.5/2℃シナリオにおいては、炭素税の導⼊による操業費の増加、鉄鋼・アルミをはじめとする原材料価格の⾼騰などが代表的なリスクであると考えており、当社は事業活動全体でその対策を進めています。具体的な事例としては、照明機器のLED化、エアコンの温度設定管理、コンプレッサーの出⼒調整、夜間および休⽇の待機電⼒削減、ボイラーの稼働時間調節など省エネ設備の導⼊や管理⾯の強化により、エネルギー使⽤量とCO2排出量の削減に取り組んでいます。併せて、サプライチェーン全体でのCO2排出量削減、製品価格の安定化を⽬的に各サプライヤーとのコミュニケーションを強化し、CSR調達を推進しています。
⼀⽅、当社事業に関わる機会については、環境配慮型製品の需要が拡⼤することが想定されるため、当社では、引き続き環境に配慮した低燃費製品の開発・販売を進めてまいります。2023年にREGZAMシリーズの新機種として欧州や北⽶の排出ガス規制に対応した油圧ショベル「HD820-8」の販売を開始いたしました。また、ディーゼルエンジンでの⾛⾏、作業を電動モーターでアシストする「ハイブリッドラフター」の販売を2024年春に予定しております。
4℃シナリオにおいては、異常災害の激甚化による事業活動の停⽌や労働環境の悪化による収益性の低下などがリスクとして考えられます。これらのリスクに対し、当社は調達網の強化や⾼効率化を⽬指した設備投資などを対応策として講じる予定です。⼀⽅、機会については、各業界での労働環境の悪化によって、省⼈化、⾃動化への需要が⾼まることを想定しています。当社では2019年にJAXAとの共同研究を株式会社熊⾕組とともに締結し、林業機械システムの⾃動化に向けた取組みを進めており、今後も本件を含め⾃動化や遠隔操作技術の研究・開発を積極的に推進してまいります。[1]
[1] https://kato-works.co.jp/profile/news/pdf/20190130_jaxa.pdf
■リスクと機会⼀覧表
【時間軸】短期:0~3年 中期:4~10年(2030年) 長期:11~20年(2050年)
リスク項目 | 事業インパクト | |||||
大分類 | 中分類 | 小分類 | 時間軸 | 指標 | 考察:リスク | 考察:機会 |
移行 | 政策規制 | 炭素価格(炭素税) | 中期~長期 | 支出 | ・電力使用量やCO2排出量に課税されるため、生産コストが増加する。 ・炭素税導入による全般的に仕入れコストの増加、CNスチールへの転換のため、鋼材費が増加する。 |
省エネ設備の導入により、操業時の購入するエネルギー使用量の低減に寄与し、支出となる炭素税の支払いを抑えられる。 |
GHG排出規制への対応 | 短期~長期 | 支出/売上 | ・GHG排出量を削減するための設備投資が増加する。 ・GHG排出規制に対応する研究開発費が増加する。 |
・環境配慮性の高い製品の需要が増加し、売上が増加する。 ・建設現場のGHG排出量削減のため、総合建設業よりCN製品が工事に指名され、環境配慮性の高い製品の売上が増加する。 |
||
市場 | エネルギーコストの変化 | 短期~長期 | 支出 | ・電力やガスといった燃料価格が高騰する。 | ー | |
原材料コストの変化 | 中期~長期 | 支出 | ・鉄鋼、アルミなどの原材料価格が変動した場合に、調達コストが増加する。 ・電炉により製造された鋼材等のCN材料、部品を採用することにより調達コストが増加する。 |
ー | ||
物理 | 急性 | 異常気象の激甚化(台風、豪雨、土砂、高潮等) | 短期 | 支出/売上 | ・事業所が洪水や高潮などの自然災害で被災し、対応コストが発生する。 ・サプライチェーンの寸断や遅延によって操業に支障が生じるため、販売機会が喪失する。 |
・災害発生時、インフラ復旧工事に資する製品の提供により、地域社会に貢献する。 ・防災工事の増加により建設機械の需要が高まり、売り上げが増加する。 |
慢性 | 平均気温の上昇 | 中期~長期 | 支出 | ・平均気温の上昇による労働環境悪化に対応するため、冷房コストが増加する。 ・平均気温上昇により製品の冷却能力が必要となり、開発費や購入コストが増加する。 |
ー |
(注)CN:カーボンニュートラル
当社では、気候変動に関連するリスクは事業活動に重⼤な影響を及ぼすと捉えており、常に全社でリスクの管理・監督ができるような管理体制を整備しています。当社は取締役会に加え、すべての執⾏役員が出席する経営執⾏会議においても、事業で発⽣する恐れがあるリスクについての情報共有を⾏っております。
また、各事業部⾨では、⾃部⾨が関与するリスクの特定・評価および各リスクの詳細な発⽣確度や影響度合について、適宜必要に応じ経営会議体に付議し、議論を⾏っています。
気候変動の国際的な枠組みが強化されるなか、事業活動で排出されるCO2を削減することは、現在当社を含めた多くの企業が直⾯する重⼤な課題です。当社は、2018年度を基準年度として、2030年度までに排出量(Scope1+2)を38%削減する⽬標を設定しました。これらの⽬標を達成するため、当社は事業活動におけるエネルギー利⽤のモニタリングを⾏っています。今後は太陽光発電をはじめとする再⽣可能エネルギーを導⼊するなど、カーボンニュートラル達成を⽬指してまいります。
■Scope1、2 排出量(2018~)
2018年度 (基準年度) |
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
Scope1+2(t-CO2) | 7,615 | 7,326 | 6,606 | 6,803 | 5,804 | 5,754 |
2018年度比削減率 | ー | ▲3.8% | ▲13.3% | ▲10.7% | ▲23.8% | ▲24.4% |
(注)上記数値は、当社国内拠点の合計値であります。
■Scope3 排出量
カテゴリー | 2023年度 排出量 (t-CO2) |
割合 (%) |
算定方法 | |
Scope3 | 1. 購入した製品・サービス | 231,448 | 44.62 | 購入した製品・サービス金額データ×排出原単位 |
2. 資本財 | 2,946 | 0.57 | 固定資産取得金額×排出原単位 | |
3. Scope1、2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動 | 1,168 | 0.23 | Scope1、2でのエネルギー使用量×排出原単位 | |
4. 輸送、配送(上流) | 1,077 | 0.21 | 調達金額×排出原単位 | |
5. 事業から出る廃棄物 | 397 | 0.08 | 廃棄物重量×排出原単位 | |
6. 出張 | 236 | 0.05 | 交通費支給額×排出原単位 | |
7. 雇用者の通勤 | 539 | 0.10 | 従業員数×営業日数×排出原単位 | |
8. リース資産(上流) | - | - | 対象外(Scope1、2に含めて算出) | |
9. 輸送、配送(下流) | - | - | 対象外(下流輸送の把握が困難なため) | |
10. 販売した製品の加工 | - | - | - | |
11. 販売した製品の使用 | 280,223 | 54.02 | 各製品モデルの販売台数×燃費×製品寿命×排出原単位 | |
12. 販売した製品の廃棄 | 704 | 0.14 | 廃棄物重量×販売台数×排出原単位 | |
13. リース資産(下流) | - | - | - | |
14. フランチャイズ | - | - | - | |
15. 投資 | - | - | - | |
合計 | Scope3 | 518,738 |
(注1)カテゴリーの小数点以下の数値の関係で合計が合わない場合があります。
(注2)「-」は、非該当項目につき対象外
(注3)算定対象は、国内のみとなります。
■2023年度 Scope1, 2, 3のCO2排出量
サプライヤーの事業活動において、環境に関連する規制を遵守するようお願いしています。例えば、自動車工業会自主規制のSOC4物質「鉛、水銀、カドミウム、六価クロム」に加え、EUでのRoHS2指令で規制されている「ポリ臭化ビフェニル、ポリ臭化ジフェニルエーテル、フタル酸系4物質」の不使用など、環境負荷を低減するような活動への積極的な取り組みにも理解・協力を頂いています。今後も当社ではサプライヤーの皆様のご理解を得ながら、積極的なサステナビリティ調達を推進していきます。
当社は水資源への取り組みとして、各種法令を遵守し、水の使用量と排水の水質について定期的にモニタリングをしております。
また、排水処理設備においては毎月点検を実施し、排水の水質維持・管理をしております。
(茨城)排水処理装置
(群馬)浄化槽
(群馬)電着排水処理装置
当社は事業活動における産業廃棄物の削減に取り組んでいます。
産業廃棄物排出量を把握し、
など、3R活動を推進しています。
茨城廃棄物置場
群馬廃棄物置場
当社の掲げている2030年CO2削減目標の達成と省エネルギー活動の更なる推進のために、2020年にエネルギー管理委員会を設置しました。各事業所にて削減活動を展開し、進捗や成果を確認しています。
生産部門における具体的な活動として、照明のLED化、エアコンの温度管理、コンプレッサーの出力調整、定期的な省エネルギーパトロールの実施、夜間および休日の待機電力削減、季節によるボイラー運転時間の調節、啓蒙ポスターの設置、高効率設備の導入、生産効率向上によるエネルギー使用量の削減等を実施することで、CO2削減に取り組んでいます。
また、輸送部門では長距離輸送の際、海上輸送を利用することでCO2削減に取り組んでいます。平成20年7月に国土交通省海事局エコシップ・モーダルシフト事業実行委員会による「エコシップマーク認定制度」が立ち上がっており、当社はその初年度に認定を取得、優良事業所として表彰を受けました。
製品においては燃費改善によりお客様が使用する際のCO2削減に貢献しています。
今後、太陽光などの再生可能エネルギーの導入を検討しており、更なるCO2削減に取り組んでまいります。
エネルギー管理委員会組織図
エネルギー管理委員会
LED照明
エコシップマーク
当社は環境や社会課題の解決に寄与し、各種条件に応じた最適な技術を提供することで、カーボンニュートラルの実現を加速できると考えており、製品使用によるCO2排出を減らすことを重要課題の一つとして、環境に配慮した製品の研究開発を推進しています。その一環として、世界初のハイブリッド式ラフター※SR-250HVを開発しました。
開発目標に「適正な価格で、完全電動車と比べ充電切れの心配がなく、CO2排出量削減が可能なクレーン車」を掲げ、エンジン&電動モータによるハイブリッド方式で走行し定地定速走行時には、同クラスのエンジン機に比べ最大約40%のCO2削減効果を実現しました。
また、グリーンエネルギー(太陽光・風力・水力等)由来の電力を確保可能な建設現場では、標準付属品の外部電源油圧ユニット「EK-UNIT」を使用することによりクレーン作業時の実質的なCO2排出量をゼロにすることが可能となります。
今後も、ハイブリッド化、電動化、水素、カーボンニュートラル(CN)燃料など様々な可能性に挑戦し続け、環境に配慮した製品づくりに取り組んでいきます。
※「ラフター」とは、運転席とクレーン操縦席が一体の建設用クレーン車であるラフテレーンクレーンの愛称であり、当社の登録商標です。
(注1)SR-250HV単体でハイブリッド走行およびクレーン操作が可能です。
(注2)EK-UNIT利用により、電動のみでクレーン作業が可能です。